個別のご依頼について(出願人用)
当サイトでは、日本国特許庁の統計情報に関する個別のご依頼も受け付けています。このページでは、出願人のための個別のご依頼の例をご紹介します。他の統計情報の集計も受任可能な可能性もございますので、ご希望の方は、当サイトの下記メールアドレスにご連絡下さい。個別のご依頼の費用に関し、1出願人あたり3~5万円程度を想定していますが、集計対象の統計情報等によって費用が変わりますので、具体的な業務内容のお問い合わせを頂いた後に、個別にお見積りをお送りします。
メールアドレス:mail@examinerlab.net
担当者:竹下 賢(タケシタ サトシ)
出願人ごとの統計情報
特定の出願人ごとに、特許査定率や拒絶理由条文コードの適用率等の各種統計情報を集計可能です。下記の表は、ある業界における3つの出願人の統計情報です。出願人ごとの統計情報を分析することによって、貴社の権利化状況と他社の権利化状況を比較可能です。
なお、下記表におけるNo.3~6以外の統計情報は、直近10年間の集計値です。
直近10年間の特許査定率は、どの出願人も大差はありませんが、出願人Bは、2024年の特許査定率が低く、何らかの原因がありそうです。一発特許査定率は、出願人B,Cが出願人Aよりもやや高いようです。面接審査による特許査定率の上昇は、出願人Aが最も高く、上昇が低い出願人Bは、面接審査を有効に活用できていない可能性があります。補正無し特許査定率は、出願人Aが最も高く、意見書の反論を適切に行えている可能性があります。
平均OA回数や技術分野(No.12~17のIPC)ごとの特許査定率は、あまり差はありませんが、出願人BのG06と、出願人CのH04と、については一発特許査定率は高く、これらの技術分野に属する出願を効率よく権利化しているようです。
拒絶理由条文コードの適用率に関し、出願人B,Cは、出願人Aよりも新規事項の追加の指摘を受ける傾向にあり、攻めた補正をしているようです。一方で、出願人Aは、出願人B,Cよりも明確性の適用率が高く、請求項の記載を攻める傾向にあるようです。出願人Aは、出願人B,Cよりも新規性や進歩性の適用率が低く、明確性については攻めるものの、技術との違いを明確化した請求項を作成する傾向にあるようです。
出願人Cは、出願人B,Cよりも前置査定率が高く、効果的に前置審査を活用できているようです。特許審決率は、どの出願人も大差はなく、どの出願人も審判請求を成立させる傾向にあるようです。このように、自社と同業他社の統計情報を比較することによって、自社の権利化業務を見直す良いきっかけになるでしょう。
特定の出願人における特許審査官の統計情報
特定の出願人における特許審査官の統計情報も集計可能です。特定の出願人に対する特許審査官の統計情報によって、特定の出願人との相性が良い/悪い特許審査官を特定できるので、特定の特許審査官が審査を担当した時の対策を練ることができます。
下記の表は、出願人A~Cにおける特許審査官の特許査定率です。下記の表の「全体」は、出願人に関係なく集計した特許審査官の特許査定率です。出願人A~Cの特許出願の審査を担当した特許審査官は多数いるため、一定程度の審査数がある特許審査官の特許査定率だけを載せています。拒絶理由条文コード等の他の統計情報も同様にして集計可能です。
例えば、審査官1,2は、出願人Aに厳しいですが、出願人B,Cにはそうではありません。出願人A~Cは、同じ業種のため、審査官1,2が審査を担当した出願人A~Cの特許出願の技術分野は同じだと思います。審査官3は、出願人Bに厳しく、出願人A,Cにはそうではありません。審査官4は、出願人Bに厳しく、出願人Cには普通ですが、出願人Aには甘いです。審査官5は、出願人Cには普通ですが、出願人A,Bにかなり甘いです。審査官6は、出願人B,Cには普通ですが、出願人Aに若干甘いです。このように、一部の特許審査官には、出願人ごとの相性があるようですので、特定の特許審査官の審査にお悩みの場合には、個別の相性に応じた対象をご検討されると良いでしょう。
特定の出願人における代理人の統計情報
特定の出願人における代理人の統計情報も集計可能です。特定の出願人における代理人の傾向を把握することで、個々の代理人に依頼する内容を検討したり、代理人選定の指標にしたりすることができるでしょう。
下記の表は、出願人Aにおける代理人の統計情報です。特許査定率と一発特許査定率は、代理人Eがやや高く、審査段階で特許査定を得る確率が他の代理人よりも高いようです。2024年と2023年の代理人Fの特許査定率が100%ですが、これは代理人Fの最近の受任件数が少なくなっていることが一因としてあるようでした。
一方で、面接有り特許査定率は、代理人Dが最も高く、代理人Dは、面接審査を有効に活用できているようです。補正無し特許査定率も、代理人Dが最も高く、意見書の主張を適切に行っている可能性があります。IPCごとの特許査定率や一発特許査定率は、通常の特許査定率や一発特許査定率と同様の傾向があるようです。
拒絶理由条文コードの適用率については、代理人Fは、新規事項の追加や柱書の適用率が高く、改善の余地がありそうです。新規性の適用率は、代理人Eが最も高く、従来技術に対して請求項の記載を攻めている傾向にあるようです。請求項の記載を攻めることは、決して悪いことではありませんが、出願人の方針によっては、改善の余地がある可能性もあります。逆に、代理人D,Fが請求項をもう少し攻めるといった方針になっても良いでしょう。
明確性の適用率は、代理人Dが最も高く、記載要件について攻めている可能性があります。この点も、出願人の方針によっては、代理人Dの請求項の書き方を改善しても良いですし、逆に代理人E,Fの請求項の記載を攻めるようにしても良いでしょう。単一性の適用率は、代理人Fが最も高いですが、この点は、新規性の適用率との関連性もあるでしょう。審判請求後の統計情報としては、代理人Eの前置査定率と特許審決率が高く、代理人Eは、審判請求後の権利化の確率も高いようです。
このように、特定の出願人における代理人の統計情報を分析することによって、業務改善や代理人選定に活用することができるでしょう。