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各条文の適用率の活用方法

今回は、各条文の適用率の活用方法を説明します。適用率は、拒絶理由通知書で各条文が適用されている確率です。ある特許審査官が拒絶理由通知書で各条文を適用した回数を、この特許審査官が発送した拒絶理由通知書の総数で割った値が適用率です。拒絶理由条文コードが新形式になった2022年5月以降のデータを集計しています。


下記の表は、明確性の適用率が日本一高い特許審査官の各条文の適用率の表です。この特許審査官の明確性の適用率は、94.83%であり、日本全体の43.35%よりも非常に高い値になっています。この特許審査官が拒絶理由通知書を発送すると、まず間違いなく明確性の指摘がなされています。この特許審査官は、非発明の適用率も非常に高いです。



このように、特許審査官の適用率と、日本全体の適用率と、を比較することによって、特許審査官がどの条文に厳しいのかを把握できます。日本全体の適用率ではなく、特許審査官の所属部署全体の適用率と比較すると、より正確な判断が可能になるでしょう。ある特許審査官の特定の条文の適用率が、同じ技術分野の審査を担当する同僚に比べて高ければ、その特許審査官が、単にその条文に対して厳しすぎるだけの可能性があるからです。


あなたが検討している拒絶理由通知書に納得できなかった場合、まずは特許審査官の適用率を確認すると良いでしょう。拒絶理由通知書で適用された条文の適用率が日本全体又は所属部署全体に比べて高い場合には、その特許審査官が厳しすぎるだけの可能性があります。この場合には、自身を持って毅然と対応すると良いでしょう。これは明確性以外の他の条文についても言えることです。


一方で、そうではない場合には、特許審査官がその条文に特に厳しいというわけではないので、ご自身の考えを今一度見直しても良いでしょう。常に完璧な判断をする人間は、この世にはいません。あなた自身の考えが誤っていて、特許審査官の考えが正しい可能性も十分にあります。各条文の適用率は、その条文が適用された場合に毅然と反論をするか、過度な限定にならない範囲で補正をするか、を考え直す材料にもなるでしょう。


以上のように、各条文の適用率は、特許審査官が特定の条文に厳しいのかを判断するために利用可能です。各条文の適用率を参照することで、より精度の高い拒絶理由応答が可能になるでしょう。

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