top of page

補正無し特許査定率の活用方法

※2024/10/27に記事を修正しました。


今回は、補正無し特許査定率の活用方法を説明します。


補正無し特許査定率は、査定直前に意見書だけで応答した特許出願の特許査定率です。2014年以降における当該特許出願の集計結果は、下記の通りです。査定直前の応答で手続補正書も提出した場合の特許査定率(以降、補正有り特許査定率)は、80.57%ですので、極端に特許査定率が下がるわけではありませんが、約20%程度下がるようです。補正有り特許査定率の詳細は、次回説明する予定です。


特許査定数: 56,110

拒絶査定数: 36,920

ファーストアクション後の取下げ等の数: 181

特許査定率: 60.20%


査定直前に意見書だけで応答するケースは、査定直前に補正書も提出するケースに比べて、割とレアであり、20件に1件程度のようです。


査定直前に意見書だけで応答した場合の特許査定率の分布は、下記の通りです。査定直前に意見書だけで応答するケース自体がそもそも少ないため、分布の足切りの閾値は、これまで載せた分布よりも低めの20にしています。特許査定等の数が20未満の特許審査官は、下記分布でカウントしていません。




0%に近い方もいれば、100%に近い方もかなりの数でいるようです。権利化業務において、「特許審査官の心証を良くするために何らか補正をする」といった話を聞いたことがあります。しかし、データ上は、補正をしたところで特許査定率が大して上がらない方もいるので、特許審査官によって対応を変えた方が良いでしょう。


上記分布の通り、一部の特許審査官は、補正無し特許査定率が非常に低いので、このような特許審査官に対しては、何らかの補正をした方が良いでしょう。一方で、補正無し特許査定率と、補正有り特許査定率と、があまり変わらない特許審査官も一定数います。特許審査官の個別具体的な傾向を考慮して補正の要否を検討すると、より精度の高い応答が可能と考えます。


もちろん、権利化業務において重要なのは、今皆様が対峙している拒絶理由通知書等の具体的な指摘です。具体的な指摘に対する検討に加えて、補正無し特許査定率を考慮して補正の要否を検討すると、無用な補正を回避したり、将来的な拒絶応答の発生を回避したりすることが可能と考えます。


以上が補正無し特許査定率の活用方法です。次回は、今回と似た活用方法になりますが、補正有り特許査定率の活用方法を説明する予定です。

0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page