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特許査定率等の推移の活用方法

今回は、特許査定率等の推移の活用方法を説明します。


当サイトでは、特許査定率等の一部の統計情報は、1年ごとの推移を掲載しています。下記スクリーンショットは、ある特許審査官の特許査定率等の推移です。



この特許審査官の2013年の特許査定率は、年次報告書に記載の69.8%とほぼ同じです。特許査定率だけを見ると、バランスが取れているように思います。一方で、2013年の査定等の合計数が451件と非常に多く、1件の審査にかける時間が他の審査官に比べて短いようです。また、一発特許査定率が35.25%と非常に高く、半数以上の特許査定が一発なので審査の精度に不安を覚えます。


その後、年間の査定等の合計数や一発特許査定率が減少し、割と安定した数値になったようです。特許査定率は、やや減少しますが、2017年までは60%前後と極端に低いわけではないようです。査定等の合計数は、他の特許審査官に比べると高いですが、2013年のように極端に多いわけではありません。


しかしながら、2018年から特許査定率が減少傾向にあり、2023年の特許査定率と一発特許査定率は、それぞれ31.72%、2.76%と非常に低いです。この特許審査官が所属する審査室は、2013年から変わっておらず、異動による影響は無いようです。この特許審査官の傾向は、特許査定率が増加傾向にある日本全体とは真逆の傾向になります。


昔から特許査定率が低いのであれば、元々厳しい人なのかなと思いますが、ある時を境に急に特許査定率が低くなったり、1年ごとの数値にばらつきがあったりすると、一貫性のある審査が行われていない可能性があります。このような特許審査官は、その時々で判断にばらつきがあると思われますので要注意です。仮に記載不備だけで拒絶査定が発送され、先行技術文献のサーチすらしてくれなかったとしても、一貫性のない判断をされる方の可能性があるので、落ち着いて毅然と対応すると良いでしょう。


事務所勤務の方であれば、クライアントに統計情報を伝えて自分達に非があるわけではないことの裏付けにするのも良いと思います。例えば、実施可能要件だけで拒絶査定を食らうと、事務所が作成した明細書の品質を追求される可能性があります。事務所の中で降格やクビになる可能性もあります。ある意味、クライアントへの言い訳に統計情報を使うのもアリだと思います。


逆の傾向の特許審査官もいます。下記スクリーンショットは、上記スクリーンショットと同じ審査室の別の特許審査官の推移です。この特許審査官は、2013年あたりはさほど特許査定率が高くありませんが、近年の特許査定率が非常に高いです。出願人としてはありがたいかもしれませんが、この特許審査官の特許査定率の増加量は、日本全体の特許査定率の増加量よりもかなり多く、近年の審査が甘すぎるのかなと感じます。このような特許審査官が担当した場合、無効審判に備えて、拒絶理由の対応時に従属項の追加を検討したり、多少の限定を加えた分割出願で別途の権利化を検討したりすると良いかもしれません。


以上が特許査定率等の推移の活用方法の一例になります。次回は、特許審査官の特許査定率と、審査室全体の特許査定率と、の差である乖離度の活用方法を説明します。私が中間処理の対応時に最も活用している統計情報の1つです。

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